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宮城県仙台市 石川行政書士事務所
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【ある行政書士の単独発言】 ◆河北新報’13/7/12 「持論時論」 石川 雅之 去る六月一九日、障害者差別解消法が参議院本会議で全会一致で可決成立した。一昨年に成立・施行された改正障害者基本法において「障害の有無にかかわらず、等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されるものである」と明記されたことに続き、差別を禁止する法律が今回制定されたことで、障害児・者の尊厳が尊重される社会に一歩近づいたと言える。 私は、障害者差別をなくす市民活動に三十年以上取組んできた者として、この前進をまずは喜びたい。差別解消法ができたことにより、今後の課題はこの法律を有効に活用することに移った。立法趣旨を市民も学び、今なお存在する障害者への差別をなくしていきたいと願う。 実際、これまで障害者に健常者と等しく人権が保障されていたとはとうてい言いがたい。それが端的に示されたのが、一昨年の東日本大震災だった。 私は被災地の障害者を支援する活動に関わっているが、あの震災における障害者の死亡率は、健常者の約二倍である。多くの障害者が災害弱者として、津波から逃げられず、または逃げ遅れて犠牲になるという現実があった。 また、命が助かった障害者も、さまざまな困難に見舞われた。その最たるものが、指定避難所がバリアフリー化されておらず、そこは障害者が避難できる場所ではなかったことだ。避難所へ行ったものの、そこではとうてい避難生活を送れないことに気づき、やむなく引き返した障害者が多かった。私たちが一昨年秋に実施したアンケート調査では、避難所で必要な支援は建物のバリアフリー化だと回答した人が、百人以上もいた。 指定避難所は、地域で生活している誰もが避難できる場でなければならない。当然、障害者も地域社会の一員だ。非常時だからと言って、障害者の存在がないがしろにされてよいわけがない。 そして、避難所の多くは学校である。そもそも、障害者基本法第一六条で「可能な限り障害者である児童及び生徒が障害者でない児童及び生徒と共に教育を受けられるよう配慮」しなければならないとされている通り、学校はさまざまな障害を持つ子どもが入学する「インクルーシブ(包含)教育」の場となることを前提に、バリアフリー化されている必要がある。 これは、単に子どもたちだけの問題ではない。学習発表会や入学式・卒業式など、さまざまな行事に児童生徒の親・兄弟・祖父母が参加することもある。児童生徒のほかにも、障害を有する家族が訪問することも想定して、学校は設計されていなければならないのだ。 それに加えて、震災後に私たちがあらためて気づいたのは、学校は子どもたちが学び育つ場であるだけではなく、地域のコミュニティセンターとしての機能も有し、今回のような災害時には避難所となることだ。それにもかかわらず、学校にバリアがあって障害児・者のアクセスを妨げている現実がある。これは、障害者が生きやすくするための合理的な配慮を行政が怠っているものとして、今回成立した法律で解消されるべき対象となる障害者差別と言わざるを得ない。 スロープ・トイレなどの設備も含めて学校をバリアフリー化していくことは、インクルーシブ教育の前提であるとともに、急務の防災対策だ。障害を持つ市民を地域の仲間と認めるならば、まずは地域の学校から差別の解消を実現すべきである。
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