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【ある行政書士の単独発言】


◆障害児を普通学校へ・全国連絡会報」’08/11月号

「戦争は教室から始まる―元軍国少女・北村小夜が語る」(「日の丸・君が代」強制に反対する神奈川の会編・現代書館発行)を読んで

                          石川 雅之
 2008年8月31日、三重で開催された「障害児の高校進学を実現する全国交流集会」の終了間際、「高校進学の壁が厚い地域がある。集会決議を挙げて、そうした県の教育委員会に送ってほしい」と私が発言するや、間髪を入れずに小夜さんが発言された。「私たちは地方分権に立つべきなのに、そうした外圧を利用する考えではダメだ」と。
 久しぶりに彼女に叱られた。高校進学のために小手先の方法でも見つけようという私の足元を見透かされたようだ。その2日後に小夜さんから届いた葉書には、「各地のたたかいから学ぶべきことは、成果よりも成果を獲得する過程です」と書かれていた。
 小夜さんのように、仲間でありながら批判してくれる存在は貴重だ。何より、その批判の根拠は、彼女の経験の中で形成された「知」と「力」に裏づけられている。
 そして、その「知」と「力」が一冊に集約されたのが、この書だ。
私たちは問われる。「障害児を普通学校へ」と訴える一方、学校で子どもたちに強制される「日の丸・君が代」・学力テストに向き合うことができているか?逆に、後者の問題に取り組む人たちは、障害児を分離する教育体制を十分自覚できているのか?
 それらは別々の問題ではなく、根を同じくする一つながりの問題である。したがって、どちらの視点をも欠落させてはならない。小夜さんがこれまで語り続け、書き続けてきたのはそういうことなのだろう。
 もちろん、それは小夜さんの主観的な思いにとどまらない。そのことは、改悪された教育基本法の中味が、「愛国心」を子どもたちに強要し、能力主義を強化し、「障害の状態に応じ」た教育を
強調している事実をみればよくわかる。私たちが障害児を振り分ける教育を問題にしながら、「習熟度別指導」に示される能力主義強化の動きや教育の国家主義化に気づかなければ、それは、森を見ずに木だけを見ているに等しい。

 今回、神奈川で6回に渡って開催された、小夜さんを講師とする連続学習会の記録たる本書を読んで、あらためてそう実感した。

 6回の学習会のテーマは、「修身と道徳−より巧妙に、自発的に心とからだがお国に奪われていく」「音楽 歌い継がれる戦争の歌−音楽は軍需品〜歌は身に付き、人の心を唆す」「障害児教育−能力主義を支えてきた特殊教育、支え続ける特別支援教育」「勤評・学力テスト−国家統制が強化されるとき、子どもの分断と教師への管理強化は同時に進む」「学校行事 日の丸、君が代、天皇制−行事を通して浸透する天皇制、戦争遂行体制」「軍国少女を生きて−旗と歌に唆され、無知のゆえ侵略者の役割を果たした」と多彩だ。

 この6回の学習会の中で、戦前から前後にかけて変わらないものの存在と、その中での障害児選別のシステムを、小夜さんは喝破されている。

 どうして小夜さんがこの一つながりの構造的な問題を的確に指摘することができるのか、本書を読んで、あらためて気づいたことは2つだ。

 一つは、「再び軍国少女をつくらないため、まずは旗と歌に唆されて戦争をして天皇のために費やした私の青春を取り戻そうと生きてきたわけですが、まだ取り戻せていません」とご本人が語っている通り、熱心に戦争をしてしまった体験の持つ重さだ。

 そしてもう一つは、排除される障害児の側に立ちきるという、明確な立ち位置から獲得してこられたものである。

「障害児を普通学校へ」のバイブルとも言える小夜さんの著書「一緒がいいならなぜ分けた」の中で示されていたのは、「子どもたちは分けられたくない」という真実だった。

では、分けられたくない子どもたちをなぜ分けるのか?それは、「特別な場で、手厚い教育を」という表面上の歌い文句とは裏腹に、文部省(現文科省)自身が広報資料に「普通学級の運営をできるだけ完全に行うためにも、その中から、例外的な心身の故障者は除いて、これらとは別に、それぞれの故障に応じた適切な教育を行う場所を用意する必要がある」として、特殊教育を整備することで「普通学級における教師の指導が容易になり、教育の効果があがるようになるのです」と悪びれずに書いているところを見ればわかる。

 つまり、普通教育は障害を持つ子どもたちを排除したところで成り立っており、それ故、現在の普通教育の歪みというものが、分けられる障害児の側からは良く見えるのである。障害を持つ子どもたちの側に寄り添い続けてきた小夜さんが、教育における根本的な問題点を見抜かれてきたのは、ある意味では当然だったのかもしれない。

 もちろん、障害児の側に身を置いた者が皆、教育の真実を見抜けるわけではない。そこには、「知」の存在が必要だ。

本書では、体験を通して得た「知」がそこかしこに示されている。一箇所だけ引用したい。戦争を煽った歌が戦後歌詞を変えたりしながら生き残っている例を多数示した後で、小夜さんはこう言う。「『音楽は軍需品なり』と言った軍人がいました。『絵画は軍需品だ』と言った人もいました。歌や絵は人の心をそそのかすのにとても役に立ちます。私は、ハタとウタにそそのかされて軍国少女に育ちました。本来、『音楽』は人の心を豊かにし、人の心をいやすものです。他の目的をもたせるべきではないと思っていますが、それが心に響き、身に付くものであるだけに、洋の東西を問わず特定思想の鼓舞に使われてきました。プロパガンダとして用いられるとき、もうそれは音楽でも芸術でもないと思います。」

 私は、この連続学習会を主催した方々が案内のチラシに「北村小夜さんの『知』と『力』を引き継ぐために」と書いていることに敬意を抱く。失礼ながら、小夜さんの年齢を考えると、彼女から様々なことを私たちが引き継いでいかなければならない時期に来ている。

 が、実際には、引き継ぐどころではなく、今もなお私(たち)は小夜さんに頼り続けている。悪くなる一方の状況に対して弱々しく抵抗を続ける私たちを叱咤する役割は、まだまだ続けていただかなくてはならない。

 が、せっかく形になったこの書を通して、小夜さんが経験し、得てきたものの一端でも、私たちは身につけていきたい。そこから、改悪されてしまった教育基本法の下で「特別支援教育」なるいかさまが進められようとも、それに抗して「共に生きる教育」を一歩でも進めていく、知と力に裏打ちされた、自らの意思を鍛えていきたいと、強く願うのだ。


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               (宮城県行政書士会 仙台泉支部所属)
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