【ある行政書士の単独発言】
◆河北新報’23/6/10 「声の交差点」
石川 雅之
今月1日、旧優生保護法下で不妊手術を強制された被害者が国家賠償を求めた裁判で、仙台地裁に続き仙台高裁も原告の請求を棄却した。
この判決は、旧優生保護法が憲法違反だと認めている。にもかかわらず、手術から提訴までに20年以上経っていることを理由に除斥期間を適用して請求を斥けた。
私は判決を傍聴したが、他の高等裁判所はすべて被害者の訴えを認めているだけに、仙台高裁の非情な判断に憤りを覚えた。
障害を理由に子どもを持つ権利を否定するのは許容できない差別だ。被害者の苦しみと苦難の人生を考えれば、除斥期間を適用せずに被害者を救済すべきだった。
国が誤った政策により被害者の人生を傷つけたのに、歳月が経過したから救済しないと言うのは、あまりに理不尽だ。高齢である被害者の方々をこれ以上苦しめぬよう、国は最高裁の判断を待たずに被害者に真摯な謝罪と十分な補償を行うべきである。優生思想と障害者差別を根絶するためにも、政治による解決を強く求めたい。
(これは、紙面に掲載される前の原文です)
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