3.建設業許可の建設工事区分の考え方

 建設業許可の対象となる業種には、類似した業種もあります。そうした、各業種間における類似した建設工事の区分については、以下のように考えられています。

1.左官工事
(1)防水モルタルを用いた防水工事は、左官工事業・防水工事業のどちらの業種の許可でも施工可能である。
(2)「ラス張り工事」及び「乾式壁工事」については、通常、左官工事を行う際の準備作業として当然に含まれているものである。

2.とび・土工・コンクリート工事
(1)「とび・土工・コンクリート工事」における「コンクリートブロック据付け工事」並びに「石工事」及び「タイル・れんが・ブロック工事」における「コンクリートブロック積み(張り)工事」間の区分の考え方
 は、根固めブロック、波消ブロックの据付け等土木工事において規模の大きいコンクリートブロックの据付けを行う工事等が、「とび・土工・コンクリート工事」における「コンクリートブロック据付け工事」であり、建築物の内外装として擬石等をはり付ける工事や法面処理、又は雍
 壁としてコンクリートブロックを積み、又ははり付ける工事等が「石工事」における「コンクリートブロック積み(張り)工事」であり、コンクリートブロックにより建築物を建設する工事等が「タイル・れんが・ブロック工事」における「コンクリートブロック積み(張り)工事」で
 ある。
(2)「プレストレスとコンクリート工事」のうち橋梁等の土木工作物を総合的に建設する工事は「土木一式工事」に該当する。
(3)「吹付け工事」とは、「モルタル吹付け工事」及び「種子吹付け工事」を総称したものであり、法面処理のためにモルタル又は種子を吹付ける工事をいい、建築物に対するモルタルの吹付けは「左官工事」における「吹付け工事」に該当する。
(4)「地盤改良工事」とは、薬液注入工事、ウエルポイント工事等、各種の地盤の改良を行う工事を総称したものである。

3.屋根工事
(1)「瓦」「スレート」及び「金属薄板」については、屋根をふく材料の別を示したものに過ぎず、また、これら以外の材料による屋根ふき工事も多いことから、これらを包括して「屋根ふき工事」とする。
  したがって、「板金屋根工事」も「板金工事」ではなく「屋根工事」に該当する。
(2)「屋根断熱工事」は、断熱処理を施した材料により屋根をふく工事であり、「屋根ふき工事」の一類型である。
 
4.管工事
 し尿処理に関する施設の建設工事における「管工事」、「水道施設工事」及び「清掃施設工事」間の区分の考え方は、規模の大小を問わず浄化槽(合併処理槽を含む)によりし尿を処理する施設の建設工事が「管工事」に該当し、公共団体が設置するもので下水道により収集された汚水を処理する施設の建設工事が「水道施設工事」に該当し、公共団体が設置するもので汲取方式により収集されたし尿を処理する施設の建設工事が「清掃施設工事」に該当する。

5.タイル・れんが・ブロック工事
(1)「石綿スレート張り工事」とは、石綿スレートの外壁等に張る工事を内容としており、石綿スレートにより屋根をふく工事は「屋根ふき工事」として、「屋根工事」に該当する。
(2)「コンクリートブロック」には、プレキャストコンクリートパネル及びオートクレイブ養生をした軽量気ほうコンクリートパネルも含まれる。

6.鋼構造物工事
「鋼構造物工事」における「鉄骨工事」と「とび・土工・コンクリート工事」における「鉄骨組立工事」との区分の考え方は、鉄骨の製作、加工から組立までを一貫して請け負うのが「鋼構造物工事」における「鉄骨工事」であり、既に加工された鉄骨を現場で組立てることを請け負うのが、と「とび・土工・コンクリート工事」における「鉄骨組立工事」である。

7.ほ装工事
(1)ほ装工事と併せて施工されることが多いガードレール設置工事については、工事の種類としては「ほ装工事」ではなく、「とび・土工・コンクリート工事」に該当する。
(2)人工芝張付け工事については、地盤面をコンクリート等でほ装した上にはり付けるものは、「ほ装工事」に該当する。

8.板金工事
 「建築板金工事」とは、建築物の内外装として板金をはり付ける工事をいい、具体的には建築物の外壁へのカラー鉄板張付け工事や厨房の天井へのステンレス板張付け工事等である。

9.塗装工事
 「下地調整工事」及び「ブラスト工事」については、通常、塗装工事を行う際の準備作業として当然に含まれているものである。

10.防水工事
 「防水工事」に含まれるものは、いわゆる建築系の防水工事のみであり、トンネル防水工事等の土木系の防水工事は「防水工事」ではなく、「とび・土工・コンクリート工事」に該当する。

11.内装仕上工事
(1)「家具工事」とは、建築物に家具を据付けまたは家具の材料を現場にて加工もしくは組み立てて据付ける工事をいう。
(2)「防音工事」とは、建築物における通常の防音工事であり、ホール等の構造的に音響効果を目的とするような工事は含まれない。

12.機械器具設置工事
(1)「機械器具設置工事」には広くすべての機械器具類の設置に関する工事が含まれるため、機械器具の種類によっては「電気工事」「管工事」「電気通信工事」「消防施設工事」等と重複するものもあるが、これらについては原則として「電気工事」等それぞれの専門の工事の方に区分するものとし、これらいずれにも該当しない機械器具あるいは複合的な機械器具の設置が、「機械器具設置工事」に該当する。
(2)「運搬機器設置工事」には「昇降機設置工事」も含まれる。
(3)「給排機器設置工事」とはトンネル、地下道等の給排気用に設置される機械器具に関する工事であり、建築物の中に設置される通常の空調機器の設置工事は「機械器具設置工事」ではなく、「管工事」に該当する。

13.電気通信工事
(1)「情報制御設備工事」にはコンピューター等の情報処理設備の設置工事も含まれる。
(2)既に設置された電気通信設備の改修、修繕又は補修は「電気通信工事」
 に該当する。なお、保守(電気通信施設の機能性能及び耐久性の確保を図るために実施する点検、整備及び修理をいう)に関する役務の提供等の業務は「電気通信工事」に該当しない。

14.造園工事
(1)「広場工事」とは、修景広場、芝生広場、運動広場その他の広場を築造する工事であり、「園路工事」とは、公園内の遊歩道、緑道等を建設する工事である。
(2)「公園設備工事」には、花壇、噴水その他の修景施設、休憩所その他の休養施設、遊戯施設、便益施設等の建設工事が含まれる。
(3)「屋上等緑化工事」とは、建築物の屋上、壁面等を緑化する建設工事である。
(4)「植栽工事」には、植生を復元する建設工事が含まれる。

15.水道施設工事
 上下水道に関する施設の建設工事における「水道施設工事」、「管工事」、及び「土木一式工事」間の区分の考え方は、上水道等の取水、浄水、配水等の施設及び下水処理場内の処理設備を築造、設置する工事が「水道施設工事」であり、家屋その他の施設の敷地内の配管工事及び上水道等の配水小管を設置する工事が「管工事」であり、これらの敷地外の例えば公道下等の下水道の配管工事及び下水処理場自体の敷地造成工事が「土木一式工事」である。
 なお、農業用水道、かんがい用排水施設等の建設工事は「水道施設工事」ではなく「土木一式工事」に該当する。

16.消防施設工事
 「金属製避難はしご」とは、火災時等にのみ使用する組立式のはしごであり、ビルの外壁に固定された避難階段等はこれに該当しない。したがって、このような固定された避難階段を設置する工事は「消防施設工事」ではなく、建築物の躯体の一部の工事として「建築一式工事」又は「鋼構造物工事」に該当する。

17.清掃施設工事
 公害防止施設を単体で設置する工事については、「清掃施設工事」ではなく、それぞれの公害防止施設ごとに、例えば排水処理設備であれば「管工事」、集塵設備であれば「機械器具設置工事」等に区分すべきものである。

<参考>
 次のものは建設工事に含まれません。
・樹木の剪定、除草・建設機械リース(オペレータがつかない)
・除雪・測量、設計、地質調査
・船舶修理・電気設備・消防設備の保守点検業務
・道路維持管理業務委託・ビル清掃などの清掃業務
・自社施工

※判断に迷う場合には、各土木事務所総務班(建設業担当)又は事業管理課建設業振興・指導班にご相談ください。


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