1.株式会社設立のメリット

 起業には個人事業と会社の2つの形態がありますが、ここでは株式会社設立のメリットを説明します。


@社会的信用性が高い

 まず、会社の方が個人事業よりも社会的信用性が高いことが挙げられます。
これは、会社の設立については会社法の規制の下で設立手続がなされている以上、ある意味で当然のことです。

 また、以前は株式会社であれば1000万円以上の、有限会社でも300万円の資本金が必要でしたので、取引する相手も、会社には一定の財政的基盤がある
ことを期待できました。財政的基盤が安定している所と取引した方が安心できるのは言うまでもありません。

 さらに、個人事業とは違い、会社という組織であれば、万が一経営者が亡くなった場合でも、会社の存続への安心度が高いと思われます(会社の規模によっても違いますが)。

 そうしたことから、個人事業よりも会社の方が信用度が高いと言えます。ですので、取引する相手は会社に限るとしている企業も現実に多く存在しています。


A資金を借りやすい

 事業をしていると、運転資金を金融機関から借りたいという場合が出てきます。
そのような場合、会社が個人事業よりも社会的信用性が高いことの帰結として、会社の方が金融機関からの融資を受けやすいということが言えます(逆に、個人
事業主が融資を受けるのは、なかなか困難です)。


Bリスクが小さい

 個人事業の場合には、事業がうまくいかなかったら、事業主がすべての責任を負わなければならないことになります。他方、会社の場合には、原則として出資者は自己の出資した額の範囲でしか責任を負いません。したがって、会社の方が倒産したときのリスクが小さいと言えます。


C税務上、有利である

 個人事業の場合には、事業主は給与を受け取ることはできません。それに対して、会社の場合には経営者は「役員報酬」として会社から給与を受け取ることができます。これによって、課税対象となる所得を、経営者として受ける報酬と、会社の所得に分けることができます。
 つまり、会社を設立すると、個人事業の際にすべて事業所得とされた所得が、経営者としての給与所得と会社の所得に分けられ、経営者としての所得には所得税がかかり、会社の所得には法人税がかかるという形で、税金の負担も分散される
ことになります。
 これによって、経営者としての所得税と会社の法人税を合算しても、通常は税金が安くなることが多いのです。

 また、青色申告手続きをしてある場合には、決算で赤字となった場合の赤字分を7年間持ち越すことができます(個人事業の場合は3年間)し、経営者の家族に給与を払うことも、しやすくなります。


 
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