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【ある行政書士の単独発言】

◆障害児を普通学校へ・全国連絡会会報2014/8月号


「被災地障がい者センター宮城」の活動から見えてきたもの

                    石川 雅之

 3年前の東日本大震災後に私たち「共育を考える会」を含めて14団体で結成した「被災地障がい者センター宮城」は、3年間の活動に区切りをつけ、本年3月31日をもって解散した。

 あの震災が起こるまで、私は、阪神淡路大震災を契機に結成された「ゆめ風基金」の個人会員として時々カンパを送り、送られてくる会報を読んではいたが、いつ来るかわからない災害を身近な問題として考えることはなかった。

 しかし、今回の震災で被災し、その後支援活動に関わる中で、様々な問題の所在を知った。自然災害は誰にとっても困難な状況をもたらすものであるが、今回の震災は障害者にとって、ことのほか重大な事態を惹き起こした。

 健常者にとっては回避できる問題でも、障害者にとっては生きていくための深刻な壁が災害時に生じる、そうした問題について、私たちはここであらためて確認しておきたいと思う。また私たちが主張してきた「共に学ぶ教育」が震災のような非常時においてどのような意味を持つのかも、ここで明らかにしておきたい。

 その前にまず、「被災地障がい者センター宮城」の3年間の活動を整理しておこう。

【1】「被災地障がい者センター宮城」の活動
1)初年度の活動
 2011年3月に震災が発生し、最初の1年は個別支援活動が中心に進められた。「ゆめ風基金」及び「東日本大震災障害者救援本部」の全面的なバックアップを受けて、機械が被災して稼働できなくなっていた作業所などへの支援等を行っていった。また、この一年間に、激しい津波被害を受けた石巻市と南三陸町に「センター宮城」支部が作られ、それぞれ事務所を設けて活動していった。

2)2年目の活動
 2年目となる2012年4月以降は、中心的な活動として「共に生きる石巻を作る連続講座」を行った。これは、「共に育つ」「共に学ぶ」「共に生きる」という活動における第一人者を全国から石巻に招いて講演をしていただき、石巻の人々と交流をしていただこうというもので、7月に石川県の徳田茂さん、9月に東京の北村小夜さん、12月に札幌の山崎恵さん、3月に大阪の牧口一二さんに来ていただいた。

 この公開講座を通して、いろいろな出会いがあった。中には、特別支援学級に子どもを入学させた方が、講座での話を聞く中で、わが子を通常学級に通わせたいと考え、翌年には通常学級への転級を実現させるということも起きた。
 また、この公開講座には、優れた講師をお招きしたこともあって、地元石巻だけではなく、岩手、東京、大阪その他の地域からも多くの参加者があった。このことも、石巻の方々にとっては刺激になったと思う。

 さらにこの年には、障害者が使いにくいJRの駅のバリアフリー化を求めて、障害者の移動の保障に焦点化した集会等も行った。

3)3年目の活動
 3年目となった2013年4月からは、東日本大震災とその後の障害者の状況をテーマとした映画「逃げ遅れる人々」の上映と討論会を宮城県内各地で行った。それぞれの地区の方々の協力を得て、仙台(6月)、多賀城(9月)、気仙沼(11月)、名取(12月)、古川(2月)と、県内5か所で上映することができた。

 すべての集まりで、単に上映して感想を言い合うというだけではなく、それぞれの地域で活動している障害者団体の方々にシンポジストになっていただき、震災時の状況と障害者の防災についての考え等を発言していただいたことで、参加者が問題点を深く共有する集まりにすることができた。もちろん、一口に障害者と言ってもいろいろな障害があり、違う障害を有する人の状況を聞くことで、理解を深める機会になったと思う。

 また、この期間の重要な活動として、仙台市との間で連続して協議を行い、障害者が犠牲になることのないような防災計画の策定や(後述するところの)学校のバリアフリー化を求めえてきた。

【2】見えてきた問題点
1)「逃げ遅れる」という問題
「逃げ遅れる人々―東日本大震災と障害者」という映画のタイトルにある通り、多くの障害者が津波から逃げ遅れ、あるいは逃げることができずに命を落とした。その数は、比率で言うと健常者の約2倍であった(沿岸部の自治体に限ると、身体障害者手帳保持者の死亡率は、全体の約3倍だった)。

 これは、障害の有無が命の軽重に直結している、言い換えれば、災害時において命を多く奪われるという、究極的な障害者差別が起きているということだ。「災害は誰に対しても平等に起きる」わけでは、決してない。

 私たち「被災地障がい者センター宮城」では、この事実を重く受け止め、「障害者がより犠牲になることのないような街作りを目指そう」を合言葉に活動を進めた。

 そして明らかになったことは、障害者が犠牲にならないようにするためにはまず、平時における共に生きる関係の構築が重要であるということだ。(津波に限らず)災害時に一人で逃げることの困難な人が身近に住んでいること、そのサポートが必要であることを、周りの人に知ってもらうことが必要だ。そのための「災害時要援護者登録」のシステムを有効に機能させる方法について、私たちは仙台市との協議で何度も話し合ってきた。もちろん、個人のプライバシーは保護されなくてはならないが、その上で、災害時に障害者が逃げ遅れることがないよう、それぞれの地域の中でより効果的に障害者をサポートしていく仕組みを作っていく必要がある。

2)「避難できない」という問題
 次に、命は助かったものの、障害者にとって指定避難所が避難できる場ではなかったという問題がある。

 この問題について、私は昨年7月に河北新報へ投稿した文章の中で次のように書いた。

「避難所はバリアフリー化されておらず、障害者が避難できる場所ではなかった。
 多くの障害者が避難所へ行ったものの、やむなく引き返さざるをえなかった。
 たしかに、震災直後は誰もが混乱している状況ではあった。しかし、指定避難所は地域において生活している誰もが避難できる場である必要がある。非常時だからと言って、障害者の存在がないがしろにされてよいわけがない。
 実際に、避難所の多くは学校である。そもそも、障害者基本法第16条において『可能な限り障害者である児童及び生徒が障害者でない児童及び生徒と共に教育を受けられるよう配慮』しなければならないとされている通り、学校はさまざまな障害を持つ子どもが入学する『インクルーシブ教育』の場となることを想定、バリアフリー化されていなければならないはずだ。
 これは、単に子どもたちだけの問題ではない。学芸会や運動会など、さまざまな行事に児童生徒の親・兄弟・祖父母が参加することもある。児童生徒のほかにも、障害を有する家族が訪問することも想定して、学校は設計されなければならないのだ。
 そして、学校は、子どもたちが学び育つ場であることに加え、地域のコミュニティセンターとしての機能も有し、今回のような災害時には避難所となる。それにもにもかかわらず学校にバリアがあって障害児・者のアクセスを妨げているのであれば、それは、合理的配慮義務の不提供として、今回成立した法律において解消されるべき差別と言わざるを得ない。
 スロープ・トイレなどの設備も含めて学校をバリアフリー化していくことは、急務の防災対策だ。障害を持つ市民を地域の仲間と認めるならば、まずは身近な学校から差別の解消を実現すべきである。」

 その後、仙台市との協議の中で私たちは何度もこのことを繰り返してきた。私が「東日本大震災時、指定避難所はバリアだらけで、障害者が使えるような状況ではなかった。私たちは、単に障害者は福祉避難所へ行くべきだとは考えないが、福祉避難所もあまり機能していなかった。仙台市として、障害者の避難先をどのように考えているのか」と質問すると、仙台市側は「指定避難所を第一義に考えている」と答えた。「そうであれば、指定避難所がバリアだらけというのはおかしいのではないか」と再度問うと、仙台市側の答えは、「バリア解消の予算がない」ともごもご答え、そこから一歩も出なかった。

 このことは仙台市だけの問題ではないので、全国の仲間に発信したいと思う。

 学校のバリアフリー化は急務だ。そのことを抜きに、障害者は避難することができない。指定避難所となる学校をバリアフリー化する活動が、今こそ全国で進められるべきである。

 実際に、バリアの問題等のために避難所には行けないので、やむをえず、被災した自宅にいる障害者が多かった。ところが、避難所へ行かないと、支援物資が何も入手できない。それが、東日本震災時に起きたことである。

3)地域で学び育つことの意味
 今回、「地域の学校にいることの意味が、震災の時によくわかった」という話を石巻でよく聞いた。避難生活の際に、その子どもを、子どもの障害を、理解してくれる人々が身近にいることで救われたという意味だ。

 非常時だからこそ、困難さを持つ子どもたちは、その子どもを知る子どもや大人が回りにいることで支えられる。

 私たち自身、「共に育つ」ことの意味と大切さを、あらためてそうした事例で教えられることになった。平常時に回りの子どもたち・大人たちに知ってもらうことで、災害時にも「生き延びる」・「尊厳を保ちながら避難生活を送る」ための支えを得ることができる。地域の中で共に学び育つことの大切さはここにも示されている。

 私たち「共育を考える会」は結成以来28年間、「障害児を分けずに共に学び育つ教育を目指そう」と訴え続けてきた。今回の震災時に示された通り、共に学び・育つことは、困難な状況の中にあっても人の支えを得て生きていくことと直結しているのだ。その確信を持って、今後も「共に育つ教育」を訴え続けていきたい。


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