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宮城県仙台市 石川行政書士事務所
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【ある行政書士の単独発言】 ◆河北新報’06/11/10「持論時論」 石川 雅之 私たちが「パレスチナと仙台を結ぶ会」という市民団体を結成してから、この六月でちょうど二十年になる。平和から見放された状態に置かれているパレスチナの人々を支援したいと考え、連続学習会、写真展、講演会、映画上映会、現地訪問の報告会など、これまで様々な活動を行ってきた。 また、十年前からは、仙台白百合学園中学高校の生徒さんたちから学園祭の収益金を毎年寄付していただき、それに市民からの寄付を合わせてパレスチナ自治区ガザにある学校に送り、子どもたちへの給食提供を支援し続けてきている。 ところが、昨年の東日本大震災以来、毎月一回の定例学習会以外に対外的な行事を行うことができなくなった。それは会場の確保が困難になったことに加え、多くの市民が震災からの復興で手一杯で、パレスチナのことまで考える余裕がないと容易に想像できたからだ。 しかし、ある映画を観て、私は考えを変えた。この映画は、ビデオジャーナリストである古居みずえさんが、二○○八年末からイスラエル軍による大規模な攻撃を受けたパレスチナ自治区ガザに入り、そこで制作したものであった。 この映画では、攻撃を受けた後の子どもたちの様子が主に撮影されている。理不尽な軍事侵攻によって家を破壊されたり親や兄弟姉妹を殺されたりした子どもたちが、映画の中で自らの体験と思いを語るシーンが多い。また、空爆によって廃虚と化したガザ地区の町並みも映し出されている。それはまるで、津波によって破壊された東北地方沿岸部のような光景だった。 たしかに、戦争は人災であり、地震・津波のような自然災害とは異なる。けれども、自らの生活する場や家族を一方的に奪われるという点では、同じである。 そうであれば、東北地方で津波・原発災害によって故郷を失った人々が身近に存在する今こそ、六十年以上前に故郷を奪われたパレスチナ人の苦境に私たちは思いを寄せることができるのではないだろうか。 また、逆のことも言える。パレスチナ人の惨状を知ることによって、東北で避難民となった人々の現状に私たちはあらためて身近な問題として向き合うことができるのではないか。実際、パレスチナ現地に住む友人たちが震災後すぐに私に連絡をくれたのも、家族や故郷を失うことの苦しみを、誰より理解しているからであろう。 そんな思いから、私たちは「僕たちは見た」というこの映画を仙台で上映することを決め、去る六月二日に上映会を行った。こうした思いは参加者にも共有してもらえたようで、上映後のアンケートでも、パレスチナの状況を東日本大震災の被害と対比する記述が多く見られた。 私たちは、パレスチナに公正な平和が実現する日まで「パレスチナと仙台を結ぶ」活動を続けていくつもりだ。パレスチナの人々の苦難は、決して見過ごせるものではない。にもかかわらず私たちが関心を失ってしまえば、イスラエルの圧倒的な武力による支配の下、パレスチナ人は安全に生活するという当たり前の権利さえ脅かされ続けるだろう。パレスチナの人々が何より願っているのは、現地で実際に何が起きているのかを世界に知ってもらうことである。 |