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【ある行政書士の単独発言】



◆共育を考える会会報「このゆびとまれ」’07/12/15号

「累犯障害者ー塀の中の不条理」(山本譲司・新潮社)を読んで

                          石川 雅之
 衝撃的な書である。多少障害児・者と関わり、また獄中者の問題・司法
制度の問題にも関わってきた私だが、その両者の接点にある現実が目の前に突き出され、狼狽せずにはいられなかった。

 筆者の山本氏はかつては民主党所属の衆議院議員で、2000年に秘書給与の流用事件を起こし、1年以上の月日を刑務所で服役して過ごした。その間、刑務所内で多くの障害者と出会ったことが、本書を筆者が書くきっかけとなった。
 本書が引用するところによると、法務省が毎年発行している「矯正統計年報」には「新受刑者の知能指数」という項目があり、2004年の数字では新受刑者総数320,090名のうち7,172名が知能指数69以下の受刑者であり、測定不能者も1,687名いるので、受刑者のうち3割弱は知的障害者であると言える。
 もちろん、この数値は知的障害者が犯罪を惹き起こしやすいことを意味するわけではない。そこは筆者も「知的障害と犯罪動因との医学的因果関係は一切ない」と正確に断言している。
 そして、にもかかわらず知的障害を持つ受刑者が多い理由を筆者はこう述べる。「善悪の判断が定かではないため、たまたま反社会的な行動を起こし検挙された場合も、警察の取調べや法廷において、自分を守る言葉を後述することができない。反省の言葉も出ない。したがって、司法の場での心証は至って悪く、それが酌量に対する逆インセンティブになっている。反省なき人間と見做され、実刑判決を受ける可能性が高くなるのだ。そして一度刑務所の中に入ると、福祉との関係が遠退き、あとは悪循環となってしまうケースが多い。」私も、筆者のこの分析に、ほぼ同意する。
 さらに、塀の中の住人に障害者が多い理由を、筆者は本書の序章において示している。ある放火事件の被告で知的障害者のFさんは筆者に「外では楽しいこと、なーんもなかった。外には一人も知り合いがおらんけど、刑務所はいっぱい友達ができるけん嬉しか。」「刑務所は安心。外は緊張する」と言った。この言葉を受け、筆者は「彼の人生の中では、刑務所こそが安住の地だったのかもしれない」と書いている。
「刑務所が一番暮らしやすかった」と障害者に言わせるような社会・国にどれだけの価値があるのか?私たちの活動が、こうした現実を変えるために些かなりとも力を持ちうるものであるのか?この本を読みながら、反問を続けざるを得なかった。
 問題の所在は、筆者が繰り返し言う「福祉の貧困」だけでは収まらない。憲法が国民に保障する基本的人権が、私たちの目に見えやすい教育や労働の場面だけではなく、あらゆる場面で障害者には適用されてこなかったことを、私は痛感した。
 たとえば、刑事事件では、「被告人の反省の度合い」は裁判での判決の軽重を大きく左右するし、刑務所で服役を始めてから受刑者に仮釈放が許可されるか否かの判断においては、再び「反省の度合い」が重要な要素となる。そして、その「反省の度合い」は、それを判定する裁判官及び保護観察官に対して、しっかりと伝わるように表明されなければならない。
 ところが、多くの知的障害者は「反省」というような抽象的な概念の操作を苦手とする。「反省」という概念を理解して身につけること、それを態度や言葉で外形的に表現することは、知的障害者にとっては、多くの場合、至難の業と言わねばならないだろう。
 筆者は言う。「この国の司法はいま、彼ら知的障害者の内面を窺う術を持ち合わせていない。結果的に彼らは反省なき人間として社会から排除され、行き着く果てが刑務所となる。」

 私はこの本を読み、自身の認識不足を恥じ入っている。筆者が「福祉の必要性」を繰り返し強調していることについては、「福祉だけで収まらない問題だ」という疑問を持つ。が、それにしてもこの本に教えられたことはあまりに多い。筆者が服役生活を送られたことに、感謝したい思いだ。
 何はともあれ、障害児・者に関わるすべての方に、一読を勧めたい。仙台市民図書館にもありますので、借りて読むこともできますよ。

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